第8章 恋柱
蜜璃ちゃんとはその後も30分位話した。ほとんど蜜璃ちゃんの話を聞くばかりだったけど、とっても楽しかった。
本の中で何となく知っていた話…煉獄さんに悲鳴嶼さん、そして伊黒さんの話は、蜜璃ちゃんから聞くと新鮮味が違う。身振り手振りで話すものだから、ずっと笑っていたと思う。
「あー笑いすぎて顔とお腹が痛いよ、蜜璃ちゃん。煉獄さんに悲鳴嶼さん、伊黒さん、知らないけどすごく知ってる人になっちゃったよ」
「ノブちゃんが楽しく聞いてくれるもんだから、私ばかりが話しちゃったわ。ごめんなさいね。でも、本当楽しかったわ。今度は一緒にご飯食べに行きましょう。流行りの洋食屋さんに連れてってあげる」
「嬉しい!仕事が忙しいでしょうけど、楽しみに待ってるね」
「じゃあ、そろそろ帰るわ。お手紙書いて良いかしら?」
客間から出て、廊下を歩きながら話し続ける。
「大丈夫。楽しみにしてる。お返事書くけど、私すごく下手なの。許してね」
「気にしないで。あ、不死川さ~ん、お邪魔しましたぁ!またノブちゃんに会いに来てもいいですか?」
稽古が終わって部屋に戻ろうとしている実弥さんを見つけ、蜜璃ちゃんが手を振りながら話しかける。
「…来る前には必ず連絡してこいッ!」
「は~い。じゃあお邪魔しました。またね、ノブちゃん」
「またね、蜜璃ちゃん。今日は本当にありがとう」
蜜璃ちゃんは玄関の扉を閉めるまで手を降っていた。それを見ながら、私も扉が閉まるまで手を振り続けた。
扉が閉まり振り返ると、部屋に戻ったと思っていた実弥さんが立っていた。
「実弥さんも見送ってくれたんですね」
「まぁ、一応知り合いだしなァ。それにしても、お前らどんだけでけぇ声で笑うんだァ?道場まで聞こえてたぞォ」
「そんなに響いてました?ごめんなさい」
「いや、謝らなくていい。楽しかったかァ?」
「はい。久しぶりにあんなに笑いました。お陰で煉獄さんと悲鳴嶼さんと伊黒さんのことがよく分かりました。悲鳴嶼さん、とってもお強いのにお隣のお婆ちゃんに追いかけ回されたって…ふふふ…」
悲鳴嶼さんの尺八話を思い出し、堪えられずに笑いだす。
「お前ら、何の話をしてんだァ」
呆れ顔で見られる。