第8章 恋柱
「そうなのよ。でも、まさかノブちゃんの居候先の人が、不死川さんだったとは…本当ビックリしたわっ。…あ!でも、柱合会議で言ってた不死川さんのお嫁さんのノブさんて、ノブちゃんの事だったのね!」
「おいっ、甘露寺ィッ!!それは何度も違うと言っただろうがァッッ!!」
「…何ですか、その嫁って?」
何だかすごい話がぶっこまれてきたぞ。
「柱合会議の時にね、お館さまが不死川さんにノブちゃんのことを聞いてたのよ。一緒に住んでるって言うし、お館さまも認めてるから、お嫁さんなんだろうって」
「だから、何度もただの居候だって言っただろうがァッ!何でお前らは全く人の話を聞かねぇんだ、なぁ甘露寺ィ!」
実弥さんが蜜璃ちゃんを睨んでいるが、全く気にしていないようだ。それよりも、確認しなければならないことがっ!!
「あの、実弥さん。柱の方達って、私の事もしかして不死川さんの嫁とかって勘違いされてるんですか?」
「ああッ!そうだよッ!何度も違うと言ってるのに、誰も話を聞きやしねぇ。埒があかねぇから、もう勝手に言わせてる」
「…何だそれ。頭痛くなってきましたよ…」
確かに柱の面々は個性の強い人ばかりだったが、ここまでとは。まさか、自分の身に何か振りかかるとは思っていなかった。
「全くだ。なぁ、甘露寺ィ、お前はもうノブが居候だって分かったよなァ」
実弥さんが蜜璃ちゃんを睨みながら言う。
「大丈夫よ、不死川さん。分かったわ。でも、二人とも仲良さそうで良かった。最初言い合ってる声が聞こえて、苛められてるんじゃないかと思ったんだから」
「まぁ、怒鳴られましたけど、大丈夫ですよ」
「お前の言い方が悪いんだろうがァ!」
「そんなことないですって。実弥さんはちゃんと話したら、ちゃんと聞いてくれますし。口は悪いですけど、何だかんだ優しいですから」
「アアッッ!優しくねぇッ!!俺は戻るぞッ!」
くるりと背を向け、歩き出す実弥さんに話しかける。
「実弥さん、私の初めてのお友達。とってもいい子でしょ?」
返事はないまま、廊下を曲がってしまい、実弥さんの姿は見えなくなる。