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【鬼滅の刃】あなたに逢いに 

第8章 恋柱


今日もいつも通り、おはぎを買いに甘味屋へ向かう。赤い暖簾をくぐり、店の中に入る。いつもなら声をかけてくれる華子さんがいない。店の奥からバタバタと忙しそうにする音は聞こえる。

「こんにちわ」

返事はない。座って待っていよう思い、椅子のある方を見る。そこには机の上に左右どちらとも空の皿が重ねてあり、その中心には桃色と黄緑色の髪の毛をした女の子が座っている。
甘露寺蜜璃ちゃんだ。
まさかこんな場所で出会えるなんて。それにしても可愛らしい。そして幸せそうに食べている姿も可愛らしい。
ついつい見とれてしまっていたようだ。視線に気づいた蜜璃ちゃんが口を開く。

「あの~、何か?」

「あぁ、すみません。あまりにも幸せそうに食べていらっしゃるので、つい見とれてしまいました。すみません」

深く頭を下げる。

「そんなに頭を下げなくて大丈夫よ~」

「すみません。ありがとうございます!ここ、座ってもいいですか?」

蜜璃ちゃんの前の席を指差す。

「ええ、どうぞ」

「失礼します。それにしても、本当幸せそうに食べますね。美味しいものや好きなものを食べるのって、本当幸せですよねぇ」

「そうなのよぉ。私、桜餅が大好きなんだけど、ここの桜餅が大好きで。久しぶりだから、ついつい食べすぎちゃった」

「ここはどれも絶品ですもんね」

「あなたもここの常連さんなのね。私は甘露寺蜜璃って言うの。あなたは?」

「私は三井ノブです。蜜璃ちゃんと呼んでもいいですか?」

「ええ、ノブちゃん。なかなか女の子と話す機会がないから、嬉しいわ」

「私もです!」

天真爛漫、この言葉は蜜璃ちゃんのためにあるのでは、と思うほど屈託なく笑う。四十の私とは大違いだ、と思いつつも、蜜璃ちゃんにつられて笑顔になる。

「ノブちゃん、来てたのね。いらっしゃい。気づかなくてごめんなさいね。はい、甘露寺さん。最後の二十個です。お待たせしました」

華子さんが店の奥から二十個の桜餅と共に出てくる。裏でおじさんと一緒に作っていたのだろう。蜜璃ちゃんは皿を受け取るや否や、どんどん口に運んでいく。二十個の桜餅はびっくりする位、すぐになくなってしまった。

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