第17章 看病
「ここだと雨に濡れるので、縁側に移動できますか?」
「いや。ここがいい」
ふいっと目を逸らされた。
は困ったなと思ったが、天元の顔を両手で包み、目をじっと見つめながら小首を傾げ、少し甘えた声で言う。
「天元。お願い。言うことを聞いて。ここだと手当てがしにくいの。」
天元は少し驚いた顔をした後、少し頬を赤くしてを見た。
「何だァ?。そんな顔もできるのかよ?・・分かったよ・・血、着いちまったらすまん。」
やっと目を合わせてくれた。
「あんな感じがお好きかと思いまして。血がついたら拭くので大丈夫です。・・・立てますか?」
「多分な。」
縁側に移動してくれたが、いつもよりも足取りが重い。
「天元殿。一番深そうな胸の傷から見たいです。隊服を脱がせていいですか?」
「ああ、頼む。」
出血が多いのか、やはり声に元気が無い。
隊服を脱がせてみると中の鎖帷子は真っ赤に染まっていた。手を早め、胸や腕の傷を縫合していく。
包帯を巻いていると、天元が手を伸ばし、の髪をふわふわと触る。
「もう血を見ても泣かねぇのか?」
「・・・ふふ。お蔭さまで。あれからもう2年ですからね。未だに見るとゾッとはしますが、慣れました。」
はチラと目を合わせ、笑いながら言う。
「俺。のあの泣き顔好きだったぜ。」
天元の手は髪から頬へ少しずつ下りていく。
「あの時は私のせいでお怪我をさせてしまいましたからね。」
頬に添えられた手をそっと両手で包み、天元の膝の上に置き、着替えが無いので、肩に布団をかけてやる。