第17章 看病
しとしと雨の降るある日。は任務が終わって、家へ帰っていた。何やら蝶屋敷の方が騒がしい。すれ違う隊士に尋ねると、天元の率いた部隊が苦戦を強いられ、沢山の死者や怪我人が出たという。
(天元殿は大丈夫だろうか?)
少し心配に思いながら自宅の門をくぐって中に入ると、庭石に腰かけた傷だらけの天元がいた。
「天元殿。いらしてたんですか?」
「おー。、お帰り。ちょっと入らせてもらってた。」
天元は随分雨に濡れていた。いつもと様子が違う。そっと傍によってみるとあちこちに怪我をしているようだった。
「顔色が少し悪いです。お怪我もかなりされていますね。蝶屋敷に行きましょう。」
「・・いや。悪い。今行きたくねーんだわ。俺の判断ミスでたくさん死なせちまった。ケガ人も多い。蝶屋敷、そいつらの対応で大変そうだからよ。俺が行くと気遣わせちまうし・・・。ちょっとまだ受け止めきれねぇ。」
は話を聞きながら、濡れた頭や顔、肩を拭き、傷の程度を見る。顔や体に無数の傷があるが、中でも両腕と胸の傷が深そうだった。
(天元殿。泣いてた?)
落ち込んでいるような顔、少し赤くなった目。雨が当たり、体も冷えているようだった。