第15章 一人暮らし
(一緒にいて気まずい気持ちになるなら、一緒にいる意味がないのでは?)
は少し前から思っていたことを思い切って杏寿郎に話してみることにした。
「あ・・あの。杏寿郎?ちょっといい?」
は布団の上にちょこんと座って、本を読んでいる杏寿郎を呼んだ。
「うん?どうした?」
本から目を離し、を見るが、目が合うとすぐに目を逸らす。
「あのね。少し前から思っていたんだけど、私そろそろ屋敷を借りて一人で暮らしてみようと思ってるんだけど・・・。」
「む!何か気に障ったか?」
杏寿郎は大きな目をさらに開いてを見る。
「最近、生活の時間も合わなくなってきたし、私、隊士になってから毎月まとまったお金ももらっている。もう煉獄家にお世話になるのが申し訳ないと思って。」
「杏寿郎ともあまり話せていないし・・。」
杏寿郎の様子を伺いながら言う。
「・・・・。うむ・・・。すまない・・・。」
杏寿郎はなぜか赤くなっている。
「その・・・俺も話がしたいのだが、最近さらにが美しく見えてうまく話せない。」
「・・・その。身体つきも女らしくなった気がする。今みたいな寝間着だと申し訳ないが直視できない。」
杏寿郎は真っ赤になりながら言い切り、も聞きながら真っ赤になり、うつむいてしまった。
「・・・目が合うとどうしても欲情してしまうんだ。未熟者がゆえに寂しい思いをさせてしまってすまない・・。」
は少し考えてから答える。
「・・・ううん。私もわかるよ。杏寿郎、すっごく男らしくなって、横顔とか、腕とか胸とかの筋肉が見えると私もドキドキする。」
お互い恥ずかしすぎて背中合わせになって話す。
「・・・。もう口づけだけでも理性が飛びそうなんだ。」
ぽつりと杏寿郎が言う。
「あ・・あの。前に、カナエさんからもらった薬の事覚えてる?」
「・・・あぁ。覚えている。正直に言うと何回か使いたいと思った。」
「・・でも?」
「でも、やはり、結婚するまでは我慢したい。」
「どうして?」
「君のご両親に申し訳ない。ただでさえ、まだ14歳だった君を強引に男所帯に連れてきてしまっているのに・・。それに、きちんと夫婦になってから抱きたいんだ。変な態度を取って嫌な思いをさせていながら言えることではないが・・・。」