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気炎万丈【鬼滅の刃/煉獄杏寿郎】【R18】

第12章 口吸い


杏寿郎は今にも泣きだしそうな顔でこちらを見ていた。弟の千寿郎かと見間違える程頼りなく、落ち込んだ顔。が初めて見る顔だった。

は、小指だけつながれた手をそっと離し、氷の様に冷たくなった手を優しく握りなおして笑顔で答える。
「痛くなんてなかったよ。大丈夫。」

杏寿郎はその言葉を聞いても、まだ不安そうな表情でを見ながら続ける。
「・・・その・・。欲情が・・抑えられなかった。俺の事を嫌いになってしまっただろうか?・・許してくれるだろうか・・・?」
杏寿郎はいつもの溌剌とした言葉ではなく、たどたどしく言葉をやっと繋いで話していた。
「が・・怯えたような目をしていたので、やっと我に返った・・。」

は、あぁ杏寿郎は私に嫌われるのが怖くて不安だったんだと思うと、胸がぎゅっと締め付けられた。

仰向けで寝ていた体をくるりと杏寿郎の方へ向け、繋いでいる手をもう一方の手で包んだ。手はまだやはり氷のようだった。

「杏寿郎は勘違いをしている。私も気持ちがよくて我を忘れた。怯えたように見えたのは、杏寿郎があまりにも艶っぽくて私も欲情したから・・・。」
「許すも許さないも私もあなたと同じ気持ちだった。嫌いどころか、好きすぎて流されそうだった。あなたが止めてくれて感謝している位に。」
「私、嫌だったら腕を払って逃げるくらいはできるよ。」
言いながら恥ずかしくなって顔が赤くなってきたけど、杏寿郎の目を見ているときちんと正直に話すべきだと思えた。

聞いている杏寿郎の方もだんだん顔が赤くなっていき、最後は下を見てうつむいてしまった。

はそのまま見つめ合うのが居た堪れなくなり、繋いだ両手を片方離し、また天井を見ながら続けた。
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