第12章 口吸い
「どうしたの?」
不思議に思いは訪ねると、杏寿郎は何やら頬を赤らめてこちらに向き直り、口を開く。
「今日、宇髄殿と色々と話が弾んでいる時に、口吸いの話になった。」
「口吸いですか??」
年頃の男性が集まるとそんな話題になるのかと思いながら、少し嫌な予感がした。
「・・・その・・口吸いを・・やってみても良いだろうか?」
眉尻を下げ、子犬の様な目で頼まれたので、は嫌とは言えず、尋ねてみる。
「・・・はい。・・私はどうすればいいの?」
「舌をこう、出してみてくれ。」
杏寿郎は舌をべっと出して見せた。
は恥ずかしいなと思いながら舌をチロっと出す。がしっと両肩をつかまれたと思うと杏寿郎の顔が近付いてきて、の出した舌を自分の口の中にちゅっと吸い込んだ。はそれだけでも少し驚いたが、すぐに杏寿郎の舌がの口ににゅるりと入り、口内をぐいぐいと探り始めた。
「ん・・・ん・・・んッ・・」
突然の舌のぬるぬるした感じと、背中がぞくぞくするような快感。薄く開いた目の前では、杏寿郎が熱を帯びた目で必死に口の中を探って来る姿にの頭はぼーっとした。
「ん・・・ふっ・・・ん。・・・んん。」
「・・ん・・。はっ・・ん・・ん。」
2人から漏れる鼻にかかった甘い吐息と、クチュクチュという水音だけが静かな部屋に響いていた。
暫くして、「ぷはっ」と口を離し、お互い肩で息をしながら惚けた顔で見つめ合った。