第12章 口吸い
鬼殺隊に入り半年が過ぎた頃だろうか。杏寿郎とは15歳になっていた。
半年一緒に住んでみて、杏寿郎もも千寿郎も槇寿郎も感じていることだが、二人は基本的な考え方がとにかく似ていた。
思いを全て伝えなくても考えていることは大体分かった。お互いの気持ちを尊重しながら丁度良い距離で接していた。
鬼殺隊の任務も順調にこなし、階級は戊になっていた。これは異例のスピードでの昇級だが、二人の日頃の鍛錬の内容からすると当たり前であった。さらに、杏寿郎もも個々で階級以上にかなり強い。2人揃うと格段にレベルが上がる。そのため、二人で任務に就くことも多くなっていた。
この日は珍しく杏寿郎だけの任務だった。
は夕刻に出発する杏寿郎を見送り、いつものように庭で素振りをしながら待っていると、夜中を回った頃に帰って来た。
「お帰りなさい杏寿郎。今日はもう任務終了?」
元気そうな声で杏寿郎が答える。
「ただいま、。今日は音柱の宇髄殿と一緒だった。俺達よりも3つ年上の元忍だそうだ。十二鬼月の噂がある鬼だったが、誤情報だった様であっさり片付いた。」
は怪我もなく、元気そうな杏寿郎を見て安心し、就寝の準備をした。
いつもなら布団でごろごろ転がりながら、他愛もない話をするのだが、杏寿郎は座ったままでなかなか床に就こうとしなかった。