第47章 あなたと一緒に
この週末も杏寿郎は朝早くから遠征に出かけてしまった。遠方へ遠征なので夜帰ってくるのも遅いという。
は、杏寿郎と朝ご飯を食べて送り出してから、洗濯物と片づけを済ませ、桜寿郎を起こして世話をしたり、遊んだりして過ごしていたが、天気がいいので、よく食べる桜寿郎の為に小さなおにぎりをたくさん作って近くの公園に遊びに出かけた。
公園の遊具で遊んでいたら、声を掛けられる。
「お、。久しぶりじゃねぇか。」
「あ、天元。ほんと久しぶり。異動になったら全然会わないね。」
天元も息子の天心を連れて遊びに来たという。桜寿郎を抱っこして「大きくなったなぁ」と嬉しそうに笑っている。桜寿郎も微かに記憶があるのか、満面の笑顔で当たり前の様に抱かれ、大きな陽光色の瞳をキラキラさせながら天元の腕や肩、頭に移動する。
天心は近くの大木に登っているらしく姿が見えない。雛鶴さんがもしかしたら2人目かも・・ということで体調が悪いらしく、家から天心を連れだしたと言っていた。
少し恥ずかしそうに笑う天元が可愛くて、ついも笑顔になる。
「天元、幸せそうで何より。」
「あぁ。まぁな。幸せだぜ。・・・お前は・・・疲れてるな?」
「当たり。」
天元はと喋りながら桜寿郎も木に登らせようと木登りのコツを色々教えていた。2歳児に大丈夫かと思っていたが、意外とすぐにスルスルと登り始めた。
「、なんかあった?」
「取り立てて大きなことは無い。でも、なんとなく杏寿郎が遠い。・・・天元、桜寿郎も見えなくなったよ?」
「俺からは二人とも見えてるから大丈夫だ。・・現世は命の不安は無いが、日々忙しいよな。」
「ほんと。命の不安がないのは幸せな事だと分かっているんだけど、欲が出ちゃうね。一緒にいられるだけで幸せだと思っていたのに。最近杏寿郎とゆっくり話もできなくて寂しい。」
「煉獄いつまで忙しいの?」
「大会で勝ち進めば夏まで。」
「そりゃ先は長ぇな。剣道部強ぇもんな。」
「そう。強い子がいっぱ入ったからね。杏寿郎が熱心になるのも分かるんだけど。」
「お前らがあんな試合なんかするからだよ。近隣の県だけじゃなくて結構遠方からも来てんだろ?責任重大だな」
「やっぱりあの試合からかなぁ?じゃあ仕方ないか。」