第47章 あなたと一緒に
忙しい4月をなんとか乗り切り、5月になり剣道部は大会の予選が始まる。それに向けた朝練が本格的に始まったことでそれは起きた。
朝、杏寿郎が早く家を出るようになったので、が桜寿郎を保育園に送って行ってから職場へ行く。が初等部に着くころに大体いつも剣道部の朝練が終わり、道場から出る時間になる。
それまでもそうだったのかは分からないが、同僚だろうか、杏寿郎達よりも少し若い黒髪の男性。朝は、がいつもより多く荷物を持っていたらその男が駆け寄って荷物を取って持ってやるのを見るし、放課後の部活の時にはよくその男と談笑しながら廊下を歩いているを見掛ける。いつもその男はなんだかを見ると嬉しそうな顔になるような気がする。
いつも、も杏寿郎も遠くからでもお互いの姿に気づくと、笑顔で手を振りあう。はその男性と一緒にいても杏寿郎に笑顔で手を振るので何もないのは分かってはいるが・・・。
ちなみに、職場で手を振り合うことについては不死川と冨岡には、家に帰れば会えるのに理解できんと言われたが、宇髄と伊黒は振りたくなる気持ちはよく分かると言ってくれた。
試合前で部活が多くなりと桜寿郎と一緒にいる時間が少なくなっていることに対して少しストレスを感じているのかもしれないが、なんとなくその男の事が胸に引っかかっていた。
はで、生活が慌ただしくなってしまい、杏寿郎と一緒にゆっくり過ごす時間が少なくなってしまった事が寂しいと思っていた。これまでも仕事の繁忙期等で会う時間が少ない時があったが、仕事に復帰する前は自分に余裕があったのでそこまで気になることは無かった。
それだけでなく、杏寿郎の部活が土日に遠征に行くようになってしまったので、もうしばらくきちんと顔を見てゆっくり食事もできていないことにストレスを感じていた。生活が急に変わったこともストレスの大きな原因の一つかもしれない。
よくあるすれ違いが2人の間に生じていた。