第46章 年明け頃
ベッドに横になって、時々痛みで眉を顰めているを心配そうに見る杏寿郎。はそんな杏寿郎に手を出して言う。
「じゃあ。杏寿郎。手を握って。」
「あ・・あぁ。大丈夫か?」
「うん。大丈夫。結構痛い。」
「それは大丈夫なのか?」
「ふふふ。痛くないと生まれないからね。」
「そ・・そうか。」
「あ・・・痛い、痛い。そろそろかも。杏寿郎、指折っちゃったらごめんね?」
「え?ん?・・あぁ。指くらいいいぞ!」
「言うと思った。うそうそ。冗談だよ。・・・きたきた・・・・んーーーー・・・いたたた。」
・・・おぎゃーーー!!おぎゃーーーー!!
『おめでとうございます!元気な男の子ですよ。』
「ふー 杏寿郎おめでとう。とうとう未来が現実になったね。・・・ハンカチ頂戴。」
「あ・・・あぁ」
体重や身長を計ってもらいながら、手足を元気にバタバタさせて大きな声で泣いている赤ちゃんを2人はほっとした気持ちで眺めた。
は、渡されたハンカチで杏寿郎の涙を拭く。
赤ちゃんは綺麗に洗ってもらい、タオルにくるまれての胸の上に置かれた。
「・・・・杏寿郎・・・そんなに泣いたらよく見えないでしょ?」
「・・そうか?泣いているか?泣いているな。あぁ・・・今度こそ会えた。・・も泣いてるぞ?」
「泣いちゃうね。・・・ほら、杏寿郎にそっくり。」
の胸の上でぼんやりと目を開けている、少し癖のある金糸のような髪の毛、パッチリとした赤い瞳の赤ちゃんを見ながら二人で泣いた。
「杏寿郎。お父さんだって。」
「善い父になれるように努力しないとな。」
「あなたは今のままでも十分だと思う。」
「そうか?・・・・。大変だったな。も桜寿郎も元気でよかった。ありがとう。」
「いえいえこちらこそ。手を握ってくれてありがとう。」
「指、折れたぞ?」
「え?本当?ちょっと鍛え方が足りないんじゃない?」
ふふふと二人で目を見合わせて笑い、ちゅっとキスをした。