第46章 年明け頃
明け方
「・・ふー。」
「・・・ふー。」
はお腹が痛くて目が覚める。この痛みは知っているぞと思いながら、痛みの間隔を計る。
前世ほどではないが、痛みには強い。早めに病院に行っても杏寿郎がソワソワするだけなのでギリギリまで待ってみた。・・そろそろかなと意を決し、自分のお腹を「よしよし頑張ろうね。」と撫で、杏寿郎の手をぎゅっと握る。
「・・・どうした?」
「・・・杏寿郎。起きて。そろそろ桜寿郎のいる未来が始まるかも。」
「・・・!!」
杏寿郎はがばっと起きて、慌てて準備をし、車に乗り込む。は病院へ向かいながらとりあえず瑠火さんと自分の母、職場のグループメッセージに病院へ向かっている旨の連絡をする。
「本当に立ち会うの?」
「もちろんだ!」
「・・・杏寿郎、大きな声で頑張れ!とかは言わないでね。大丈夫だから。」
「うむ!残念だが、分かった。テニスボールは?」
「・・いらない。」
「ラマーズ法は?」
「呼吸使うから大丈夫。」
「好きな音楽とかは?」
「・・いらない。・・・ごめんね、なんか色々調べてくれたみたいなのに。動画も撮らなくていいよ。」
「では、俺は何をすれば?」
「・・・う~ん。じゃあ手を握ってもらえるかな?あとハンカチを用意しておいて。」
「承知した!」
「杏寿郎、ドキドキしてる?ワクワクしてる?」
「・・半々だな。・・・、汗をかいているぞ・・・大丈夫か?」
「うん。さっきから良い感じにかなり痛いから、きっとすぐ産まれるよ。」
病院について助産師さんに診てもらうともうすぐに産まれそうとのことで、慌ただしく分娩の準備が行われた。