第46章 年明け頃
のお腹はもうずいぶん大きくなり、そろそろ予定日を迎える。前世と同様に杏寿郎は毎日のお腹を触り、話しかけている。予想通りお腹の中の赤ちゃんは男の子で、名前はやはり桜寿郎が第一候補になっていた。
予定日が近づくにつれ、ほんの少しだけ杏寿郎に元気がない。
夜、いつものようにを後ろから抱きしめるようにベッドに入り、杏寿郎はのお腹に手を置いて、「重くて大変そうだな。苦しくないか?」と優しく声をかける。
は「ありがとう。大丈夫。」と答え、杏寿郎の手を握る。
「杏寿郎。なんか心配なことがある?」
「・・・・気づかれたか。・・くだらないことだ。」
は顔を後ろに向けて、杏寿郎の目を覗き込んで微笑む。
「当ててみようか?自分から言う?言いたくない?」
「・・・きっと君にはお見通しだな。・・・俺は前世では、君のお腹が大きくて、息子に会えないまま死んでしまったからな。ここから先の人生を知らん。桜寿郎に会える未来が本当にあるのか不安になった。・・・当たっていたか?」
「大体ね。」
「会いたいという思いが強かったからか、会えないような気がして無性に不安な気持ちになる。俺にしては珍しい感情だ。」
取り繕えなくて心配をかけたな。と、杏寿郎は言う。
取り繕わなくていいよ。たまには心配させて。とも返し、続ける。
「杏寿郎、大丈夫。もうすぐだよ。今生では会える。楽しみだね。きっとあなたにそっくりな子だよ。」
は微笑みながら「ん」と目を閉じてキスをせがむ。「早く会いたいな。」と言いながら杏寿郎がの口にちゅ、ちゅとキスをしてまたお腹を撫でる。