第44章 ※三十個
浴室に着くと、を抱えたままピッとボタンを押し、お湯を張る。
広い脱衣所に戻ると、の背中が壁に付くようにそっと床に下ろして座らせる。
そしてまた深い口づけを始めながらぷちぷちとお互いのボタンを外し、はシャツとスカートを脱がされた。
は一度体を離し、杏寿郎のシャツを脱がせると、杏寿郎は自分で下に着ていたTシャツを脱いだ。
100年前と変わらず、鍛えられ筋肉のついた雄々しい体。一つ違うところは無数にあった大小の傷が今は無い。筋肉一つ一つが盛り上がり、艶やかな輝きを放っていた。
はひゅっと息を飲み、ぞくりと欲情した。頬は赤く染まる。下着がじわと濡れたのが分かり、一瞬目が泳ぐ。
「ん?、俺の体に見惚れたか?」と、少し動きが止まったを見て、にやりと笑いながら「そんな顔で煽ってくれるな。」と耳元で囁くように言う。そしてまたキスの雨。は久しぶりに見た杏寿郎の肉食獣のような瞳から目が離せず、背中がもうずっとゾクゾクして治まらない。早くあの瞳がギラリと光るのが見たい。自分でも惚けた顔をしている自覚はあったが、潤んでとろりとした瞳で杏寿郎を見てふっと笑う。目が合った杏寿郎は一気に眉尻を下げて、「~ 本当に可愛すぎるぞ君は」と抱きしめてくる。
「さぁ、続きだ。腕を上げて。」
するするとキャミソールが脱がされると、淡いピンクのレースの下着姿にされた。白く柔らかそうな豊かな胸の谷間をレースがより一層艶っぽく見せていた。
「…美しいな。」杏寿郎はごくりと唾を飲み込み、そのふくらみをそっと両手で包み、谷間にキスをしようとする。
が、に頭を掴まれてシャワーを浴びてから。と怒られる。
杏寿郎はわざと残念そうな顔をしてを見てから、では、外してみてもいいか?と背中に腕を回す。
ん?どこだ?と笑いながら、探すふりをして肩や首にキスを落とす。
「ふふ。くすぐったい…。もう…背中の真ん中の方へホックがあるでしょ?」と笑いながら、杏寿郎の背中に腕を回し、すべすべの背中を撫でたり、綺麗な金色の髪を指で触れながら待つ。
「ん??む?外れん。背中の方を見ていいか?」
「ん。真ん中のホックを横にずらしてみて。」と言い、体を動かして背中を見せる。