第44章 ※三十個
「ん?・・あ!待ってくれそれは・・・。」
がひょいっと覗いた袋の中には飲み物と12入りのゴムが入っていた。中身をに見られて真っ赤になってしまった杏寿郎を見て、いたたまれなくなったは、棚から紙袋を取り出して、杏寿郎に渡す。
「・・杏寿郎。・・・見て?私も同じこと考えたから大丈夫。」
袋の中には同じく12個入りのそれ。
「買うの・・恥ずかしかった・・。」
「・・俺もだ・・・。あ!!」
「ん?」
宇髄がくれた・・・。とポケットからLサイズの6個入り。
「これで、30個・・・。」
2人は顔を見合わせて笑った。
「・・足りるか?」
「え?」
杏寿郎が身を乗り出して、の口へちゅっちゅっとキスをする。目を合わせたまま一度顔を離し、体を抱き寄せての頬を手で包む。
の唇を軽く噛むとも舌を出してきた。
舌先と舌先とを触れ合わせ、絡めあう。薄く開いた目が合うと杏寿郎がの口に舌を入れる。
部屋にはクチュクチュという水音と、鼻にかかる甘い声だけが聞こえる。しばらく絡めあい、銀の糸を引きながら唇を離す。
お互いの上気した顔を見つめ合いながら、はぁはぁと肩で息をする。
杏寿郎が少し泣きそうな顔での体をぎゅっと抱きしめた。
「あー・・100年ぶりだ。幸せだな。」
も杏寿郎の背中に腕を回し、ぎゅっと力を込める。
「・・幸せだね。・・でも、杏寿郎。せめてシャワーを浴びたい。」
そうか、では行こう。こっちか?と、杏寿郎はをひょいっと抱え、浴室へ向かう。え?と驚くに「一緒に入ろう。」と言いながら。