第41章 試合
また2人は構えて見合うが、今度はも面を狙った。
そんなの狙いに気づいた杏寿郎も面のみを狙い、何度も同時に面を打つ。
ほぼ同時にお互いの面に竹刀が当たり、そのまま体がぶつかる。ぶつかって弾かれて、2人はその反動で跳ねるように一旦コートの端まで下がり、また構えなおして面を打ちに行く。同時に打つのでなかなか決まらない。10数回繰り返したのち、杏寿郎の面が若干速くの面を捕らえた。
ばばばっと3人の審判は赤い旗を挙げる。
また挙がった旗を一瞥して中央へ戻り、仕切りなおす。
も、杏寿郎も表情は涼し気だが、腕にはビキビキと血管が浮いている。
技が決まるたびに体育館に歓声が響く。
「面あり。勝負。」
最後は杏寿郎が上段に構え、さらに会場が湧く。
次の一本を取った方が勝ちなので、お互い様々な部位を打つが、思う様に有効打突が打たせてもらえず、何度も打ち合う。二人の打ちが速すぎて、3人の審判以外はよく見えていない様だった。
打ち合っている途中、バキッと音がし、杏寿郎の竹刀が折れる。
新しい竹刀に替えて、再開した次の瞬間、が杏寿郎の喉めがけて突きを放つ。
突かれて杏寿郎の体が下がったかのように見えたが、一瞬呼吸を使い、足に力を入れて、体が下がらない様に前に進めてきた。
が竹刀を引く前に、竹刀がたわみ、あっけなく折れる。
杏寿郎はゲホッと咳込むが、体が後退しなかったのと、竹刀が折れたので、有効打突にならず。
が竹刀を変えている間、体育館はざわめき、コート上の3人の審判は目を見合わせて、今2人が何をしたか理解し、苦笑いする。
が竹刀を替え、試合を再開する。二人ともまた打ち合い、が面を打って出た瞬間、杏寿郎が手首を返してパーンと胴を打つが、間合いが近く、無効になる。
「ピーーーーー。」
5分の合図が鳴り響く
。
「赤1本、白1本、引き分け。」
2人は中央に戻り、蹲踞をして試合が終わった。
体育館に歓声が湧き、拍手が起きている。