第39章 確認
「今の状況とか、そういうのが全く分かっていないんだけど・・」
「私は、天元を幸せにしたいと思っている。」
「俺?煉獄んとこに行きたいって話じゃねぇの?」
「杏寿郎とは早くに死んでしまって悲しい別れだったけど、私ができる限りの愛情をかけることができた。まだ幼くって、ままごとみたいで、責任もなくって、呑気にずっと笑ってて、楽しいことが多かったしね。」
「・・・でも、天元。あなたにはつらい思いばっかりさせた。あなたとの時間も勿論楽しかったけど、後悔の方が多い。私ばかり助けてもらって、愛してもらって、幸せにしてもらった。先に死んでしまったし。・・できることなら返したい。」
「お前、律儀なの変わってねぇな。でも、が煉獄に対してできる限りの愛情がかけられたと思うのと同じで、俺もを精一杯愛したし、もいっぱい笑ってくれたから報われた。子どもたちも可愛かったし、のおかげでいい人生だったぜ。」
天元はすぅっと息を吸って続けた。
「俺の心残りは、俺の嫁の1人だった雛鶴が、俺をずっと想ってくれていたんだが、その想いに応えられなかったことだ。誰とも結婚せず、最後まで俺の世話をしてくれた。俺が死んだ後に子どもたちの成長を見守ってくれたのも雛鶴だ。現世は雛鶴を幸せにしてやりてぇ。」
「お前は、煉獄とできなかった人生の続きをやれ。ちゃんとあいつの子供をあいつに育てさせてやれ。ずっと前世で心残りに思ってたろ?」
「煉獄が現世もを想ってるのは分かっているだろ?お前だって、煉獄を愛してるはずだ。お前・・ずっと煉獄を目で追ってるの自覚してねぇの?」
は少し険しい顔でじっと天元の目を見つめて話を聞いていた。
「ねぇ。天元。私、前世であなたにすっごく愛してもらったから、ちょっと自惚れているんだと思うんだけど・・・。」
はそこまで言うと、天元の頬を両手で挟んで目を見つめて続ける。
「私の事を思って、そう言ってくれてるんじゃないよね。本当の天元の気持ちなんだよね?」
「・・・あぁ。そうだ。俺は雛鶴と幸せになるから、は煉獄を幸せにしてやれ。」
そこまで言うと、フイッと目を伏せて、頬に添えられたの手を外す。
(優しい優しい天元。・・相変わらずあなたは嘘が下手だ。)