第37章 歓迎会
歩きながらは無意識に天元の右側に行き、手を繋いだ。
「ん?、どした?」
天元は繋がれた手を握り返しながら言う。
「ん?ん?あれ?すみません。なんで手、繋いじゃったんだろ?」
ぱっと手を放し、天元に謝る。
「別にやじゃねーよ。いつでも繋いでやるぜ。」
天元はの顔を覗き込みながら、にっと笑う。
はその顔をじっと見て尋ねる。
「宇髄先生。どこかでお会いしたことありませんか?」
「それは、口説き文句と取っていいか?」
「・・・・気のせいでしたか。すみません。」
う~んと考えるように首をひねる。
駅で4人と別れ、と杏寿郎だけになった。
正確には、他の4人が杏寿郎に気を使ってそうした。
2人は歩きながら話をする。
「煉獄先生、今日はあまり話せなかったね。」
「む。そうだな。俺は不死川と話してたからな。は宇髄と楽しそうに話していただろう?」
「宇髄先生と喋ってると、なんだか懐かしく感じて。兄に似てるからかも。」
「・・お兄さんはフランスか?」
「一緒に日本で住んでるよ。」
「そうか、良かったな。」
「良かったの?」
「ん・・あ・・ああ。女性の一人暮らしは危ないだろう?」
「あ、そういうことか。」
また、は無意識に杏寿郎と手を繋ぐ。
「む・・・小さい手だな。」
「え?あれ?ごめんなさい。私、今日どうしちゃったんだろ?」
慌てて手を放そうとしたが、そのままきゅっと握られた。
「良かったらもう少しこのまま繋がせてもらってもいいか?」
「え?・・・じゃあ。いいよ。」
「わはは。あー、俺は酔ってるな。」
杏寿郎は繋いだ手を少し大げさにブンブン振る。
「煉獄先生。体温高いね。あったかい。」
「よく言われる。」
「彼女に?」
「彼女はいない。ずっといない。君と一緒で剣道ばかりしていた。だから童貞だ。女性と手を繋ぐのも初めてだ。」
悪戯っぽい顔でを見て、わはははと笑う。
「・・初めての手、繋いでて大丈夫?」
「大丈夫だ。」