第34章 緊急招集
無惨は・・・天元の言う様に、生きて次の攻撃を出すことを考えないと直ぐに殺されてしまうような攻撃ばかりを出してくる。死にたいと一瞬でも思えば、すぐに肉片に変えてもらえるだろう。
の技では致命傷どころか傷をつけることさえ難しいので、少しの隙を作るため、他の人を守るため、自分も攻撃を受けて死なないようにするために技を出した。頭は冷静で、いつもよりも視野が広がって感覚は研ぎ澄まされていくが、体はずっと燃えるように熱かった。
どんどん他の隊士が目の前で致命傷を負い、死んでいく。手当てをしている暇は勿論なく、一人で死なせてしまう。それを悲しむ余裕もない。
何度も疲弊と酸欠で倒れそうになり、攻撃が当たりそうになると羽織を引っ張られる感覚で助けられた。
首に下げた指輪も熱い。
杏寿郎が助けてくれていると思うと力が湧いたが、まだそっちに行かせてもらえず、こっちですべきことがあるのかと思うと少し悲しかった。
あと少しで無惨を太陽の光で灼けるという時、善逸を庇って背中に攻撃を受けた。大切な羽織は破れてしまった。
気にせず戦うが、血が失われていって少しずつ意識が無くなる。
体から力が抜けていくのが眠りにつく前の様で心地いい。
やっと杏寿郎に会えるのかと思っていたら、霞んでいく視界の中に天元が見えた。
そうだった。天元の所に帰る約束をしてしまったんだと思い出す。
仕方ない。天元にありがとうは言いたいからもう少し生きなければ・・・。
可愛い可愛い桜寿郎にも会いたい。