第25章 父上
知らせを聞いた千寿郎がお見舞いに来てくれた。
「さん、おめでとうございます。わぁ兄上そっくり。」
「千にも似てるよ。千、叔父上だね。」
「叔父上・・・。違う呼び方で呼んでもらってもいいですか。」
蝶屋敷ということもあり、入れ替わり立ち替わり、色々な人が見に来てくれた。
皆、桜寿郎の顔を見てそっくりだと笑い、杏寿郎のことを想って泣いてくれる。
私は少し困った顔でそれを眺める。
夜になると入院している炭治郎君が赤ちゃんを見に来た。
まだ杏寿郎の事を思ってくれているのだろう。落ち込んだ顔をしている。
「炭治郎。来てくれてありがとう。ほら抱っこしてあげて。」
「わぁ。煉獄さんそっくりですね。」
ぽろぽろと涙をこぼしながら桜寿郎を見る。
「杏寿郎のこと思い出した?」
ハンカチでそっと涙を拭いてやる。
「はい。とても熱く、優しい方で・・。この子を見たかっただろうなと思うと・・。」
「人が殺されない世の中にしたいね。禰豆子ちゃんも人間に戻って。この子には死と隣り合わせでない所で人を助ける人になって欲しい。そして自分も幸せになって欲しい。もう殺し合いは終わりにしよう。」