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気炎万丈【鬼滅の刃/煉獄杏寿郎】【R18】

第25章 父上


淡々と言うに炭治郎は若干の違和感を覚えた。この前会った時もだが、気持ちの匂いが殆どしない。
「・・・さん。俺もつらいですが、さんはもっとつらいんじゃないですか?」

「・・・炭治郎は、人の気持ちが匂いで分かるんだっけ?・・私から気持ちが読めないから聞いているんだよね?」

「・・・はい。すみません。」

「今は何の気持ちも持てない。受け止められないことがあるとこうなる。家族が殺された時もこうなった。しばらくはこう。」
「向き合えずに殻に閉じこもって甘えてるだけ。私は杏寿郎のように強くないんだ。」

「・・・すいません。」

「炭治郎が謝ることは無いよ。私の弱い心の問題。もっと言うと、杏寿郎が死んだのも杏寿郎の問題。あなたのせいで死んだんじゃない。単純に杏寿郎よりも猗窩座が強かったから死んだの。」
「杏寿郎の奥義で勝てなかったのなら、今は彼の死を悔やむより、杏寿郎を超える技を出すことを考えないと、次の人が死んでしまう。杏寿郎もあなたに前を向けって言ってなかった?」

「言われました。」

「じゃあ今できることを見つけて進んでいこう。」
「・・・炭治郎。次は明るいときに来て。庭でこっそり日ノ呼吸を見せるよ。」

「え・・・!?いや、さん今日赤ちゃんを産んだばかりなんじゃ・・・?」
「大丈夫。しのぶさんには見つからないようにするから。」
「そういうことでは・・・。」

炭治郎の腕の中で桜寿郎はすやすやと眠っている。
「桜寿郎寝ちゃった。炭治郎は抱っこが上手だね。」

「俺、6人兄弟の長男なんで!」

「じゃあ、いつでも寝かしつけに来て。」

「はい!」
炭治郎は桜寿郎をそっとベットに下ろし、「では!」と頭を下げて病室へ戻った。

そっと閉まったドアをはじっと見て溜息をついた。

(杏寿郎。私うまく励ませてた?)
(私が本当は早く任務に戻って鬼に殺されたいって思ってるって知ったら炭治郎はショックをうけるよね。)
(自分で死んだらきっと杏寿郎と同じところには行けないから、誰かに・・)
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