第25章 父上
桜寿郎はきれいに洗ってもらい、の隣に寝かされる。杏寿郎があんなに大切にしてくれていた膨らんだお腹はぺたんこになっていて少し寂しかった。
少しして天元が病室へ入って来て、のベッドへ腰かける。
「おめでとさん。。よく頑張ったな。」
の頭をふわふわ撫でながら優しい眼差しで言う。
すぐに天元は視線を外にすっと逸らした。きらりと涙が一筋流れた。
「え?天元、泣いてるの?」
は涙を拭ってやる。
「お前が泣かねぇから替わりにな。」
「あ・・・ありがとう?」
とりあえずお礼を言う。
「せっかくだから、抱っこしていいよ。」
「お、おう。」
天元は隣のベッドから桜寿郎をひょいっと抱いて覗き込む。
「・・・軽っっ。そして、煉獄家ェ・・・。の要素あるか?」
「私も同じ事思った。」
「えーっと?」
「桜寿郎。」
「桜寿郎、桜か。いいな。よしよし良い子だ。目も煉獄そっくりだな。」
大きな天元が小さな桜寿郎を優しく大切そうに扱っている。
「天元っていいお父さんになりそうだね。」
「お?そうか?よし桜寿郎。父上だぞー。」
桜寿郎の大きく開いた瞳をじっと見ながら言う。
「え?」
「ん?そういうことじゃねぇの?あぁ、赤ん坊って良い匂いするな。」
桜寿郎の鼻と自分の鼻をちょんとつけて笑う。
「私、天元から血をもらってるから、天元とも血がつながってるよ。きっと。」
「確かにな。」
天元が自分の指を握らせて喜んでいるのを、はぼんやりと見る。