第21章 報告
まだ少し驚いた顔のに杏寿郎は言う。
「お腹を触っても良いか?」
「は・・はい。この辺りです。」
杏寿郎の手を取り、子宮の辺りを触らせる。
「おーい。父上だぞー。」
嬉しそうにお腹をさすったり、声をかけたりし始めた。
「杏寿郎・・・怒ってないの?」
「何に怒る必要がある?俺の大好きなのお腹に、と俺の子がいるんだぞ。結婚しているんだから何の問題も無い。」
「・・・、俺の怪我で不安にさせてしまって申し訳なかった。」
「お互い、いつ死んでもおかしくない状況にあることは認める。失うことも怖い。でも、考えていても未来は分からんのだ。」
「今、もうここに命がある。親が子の命に不安や迷いを持ってやるのは申し訳ない。この子に会うのを今は楽しみにしてやろうではないか。」
「はい・・・。はい・・・。」
はほっとしてぽろぽろと涙をこぼす。
「・・・しかし・・・。任務は・・もう、生まれるまでは行かないでおいてくれるか?」
の涙を拭いながら言う。
「はい。体を大事にして過ごします。」
杏寿郎はそれを聞いて安心した顔をした。
「さぁ、もう一度お腹を撫でさせてくれ。さっきはよく分からなかった。」
「はい・・どうぞ・・・。でも、まだ2・3寸ほどなので、何度触っても分からないかも・・・。」
「よもや・・・まだ俺の子はこの位か・・・。」
指で3寸を測っている杏寿郎を見て、この人と結婚して本当に良かったと思った。