第21章 報告
「言いたくなければ、言わなくて良いが、どうして隠していた?」
杏寿郎は体を離し、の手を両手で包み、優しく言う。
「・・・。・・・。・・・。」
はどう言葉にしようか考え、しばしの沈黙が流れた。
「・・・杏寿郎が怪我をした時、死は突然来ると気が付いて、あなたが生きた証が欲しくなってしまいました。」
「でも、あなたの傍で戦っていたいという気持ちも強く。」
「あなたがいつも私に注いでくれるたくさんの子種を薬で殺してしまうのが忍びなくなってしまい。次の保証はないと思ったら・・・、どうしても・・・薬が飲めなくなってしまいました。」
「ごめんなさい。何の相談もせずに。自分でも矛盾ばかりで、あなたにうまく説明できなくて言い出せなかった・・・」
目を伏せて、涙声でぽつりぽつりと言う。
「・・・の気持ちはよく分かった。一人で悩ませて悪かった。」
「薬は、俺が退院した日の晩からだろう?あの日の君は何か思い詰めている様子だった。」
「しばらくすると君の顔色が悪くなっていき、食も少し細くなった。」
「ちゃんと気付いた時に話を聞いていれば、1人で悩ませずに済んだのに・・・。」
「でも・・そうなると、心配過ぎて一緒に戦いたいという望みはかなえてやれなかっただろうな。」
「・・・今回、君とお腹の子、一度に失うかもしれないと思ったら、怖くて血の気が引き、体が震えた。父上が母上を喪ってずっと塞ぎ込んでいる気持ちが痛い程分かった・・・。」