第21章 報告
杏寿郎は自分がそうしてもらった様に手を握ってを見つめた。
(目を開けて欲しいと思いながら待つ時間はこんなにも長く感じるものか。俺はにこれを6日間もさせてしまった)
数刻ほど経った頃、は目を覚ました。
「目が覚めたか。」
「ごめんなさい。心配をかけてしまって。」
「さすがの俺も、君の羽織が真っ赤だったのを見た時には肝が冷えた。」
「でも、君はたった数刻で目を覚ましてくれた。」
「不安な時間は永久の様に感じるな。俺の看病をしてくれた6日間はさぞつらかっただろうと考えていた。」
「・・つらい所はあるか?肩の傷は痛むか?」
の額に手を置き、発熱の確認をする。
「大丈夫。輸血をしてもらったの?かなり回復してる。」
「宇髄が血を1㎏程くれたぞ。」
「天元の血か・・なんか濃そうだね。ありがたいけど。」
掌をぐっぐっと開いたり閉じたりしてみる。
は上体を起こして座る。外はもう日が昇っていた。
「杏寿郎は怪我とかしなかった?ご飯は食べた?」
「・・君はいつも俺の事が優先だな。」
そう言うと杏寿郎はを抱きしめた。
「・・・。君。お腹に子供ができたのか?」
今するべき質問か一瞬迷ったが、訊かずにはおれなかった。
「・・・はい。・・・黙っていてすみません。」