第21章 報告
「・・・では、愚かな俺から、1つお願いがあるんだが。」
「内容によるな。」
「もし俺が死ぬことがあって、その時も君がまだを思っているならばの事を倖せにしてやって欲しい。」
「俺が見た感じだと、にとって君も特別だ。君には辛辣な事も言うし、何より素直に甘えて、感情を出している。」
「もちろん俺は死ぬつもりはないし、俺の手でを倖せにしたいと思っている。が、死ぬ時は選べないからな。万が一の時には頼む。」
「・・・色好い返事は今はできねぇが、心に留め置いてやる。」
ガチャ、と、ドアノブが回る音がしてしのぶが処置室から出てきた。
「まだ意識はありません。宇髄さん。血を頂けますか?」
「おぅ。待ってたぜ。5㎏位採って大丈夫だぜ。」
「そもそもそんなに体に入りません。1㎏位良いですか?」
杏寿郎は処置室の外でずっとの無事を思いながら待った。
一刻半程経った頃、天元が処置室から出てきた。杏寿郎は丁寧に礼を言い、見送る。
戻ると、は病室に移され、しのぶが待っていた。
「血の量はほぼ元に戻りました。ただ、輸血が多かったため、拒否反応が出るかもしれません。今はそれを抑える薬を投与していませんが、症状が出たら投与します。・・・その時にまた説明をします。」
の顔色は随分良くなっていた。浅かった呼吸も穏やかになっている。