第21章 報告
四人は東西南北に分かれ、それぞれの部隊を連れて攻撃を始めた。はもちろん杏寿郎の部隊にいた。
杏寿郎と別々に探索していたところ、行方不明になっている子供が廃寺にたくさん閉じ込められていた。恐怖で泣き叫び、しがみついてくる子供を抱え、安全な場所に避難させようとした時、鬼が襲い掛かってきた。
子供を下ろすと襲われるので抱えて戦っている内に、子供を狙った攻撃を肩に受けてしまった。
子供に怪我は無く、程なく鬼の首を斬ることができたが、はじわじわと出てくる血を何故か呼吸で止めることができずにいた。
出血に構うことなくすぐに、他の場所で始まっている戦闘に加わり、明け方まで戦った。
柱が四人いるので、難しい戦いではなかったが、数と範囲の広さで時間が掛かってしまった。
は出血のため目が霞んできたが、杏寿郎が見えたので、なんとか近くに行く。
杏寿郎は隠や隊員に指示を出していたが、の顔色が悪く、羽織の肩に血が滲んでいることに気付き、飛んできた。
「、大丈夫か?」
「杏寿郎。ごめん。出血が止まらない。肩を借りる・・・・」
は近くに来た杏寿郎にもたれるように倒れ込んだ。
杏寿郎は体を支えながら、肩の傷を覗き込んだ瞬間、サーっと血の気が引いた。の羽織の背中側がほぼ真っ赤に染まっており、羽織の裾からは血が滴っていた。
「っ・・・胡蝶を・・!」
とりあえず、自分の持っている綿布で傷を圧迫し、止血を試みたが、布に血が滲んで赤が広がっていき、なかなか止まらない。
駆けつけた胡蝶がすぐに傷を縫合しやっと血が止まったがの顔は蒼白だった。
事後処理を任せ、杏寿郎としのぶはを連れ、一足先に蝶屋敷へ向かう。