第21章 報告
自覚症状があってからすぐに、しのぶの所へ行き、確認をしてもらってはいた。
ぎりぎりまで夫と任務に赴きたいので、暫くは夫に言うつもりが無いこと
可能であれば産みたいこと
万が一のことが自分に起きたら子供を優先して欲しいこと
怪我などで薬を使ってほしくないこと
しのぶに嘘を付かせるのは申し訳ないので、聞かれた時は本当の事を伝えて欲しいこと
しのぶは、そんなの危険で身勝手なことに自分を巻き込むのはやめて欲しいと怒ったが、妊娠4カ月目までにはきちんと自分で杏寿郎に言うという約束でしぶしぶ了解してくれた。
幸いつわりも軽く、寝込む様な体調不良になることも無く、鍛えている腹筋のおかげで腹部が膨らんで目立つことも無いので、任務はさほど大変ではなかった。
しかし、鬼との闘いはそんなに甘いものではない。
杏寿郎と義勇、しのぶ、天元の四人の柱による合同任務中にそれは起きた。
任務の内容としては、十二鬼月と噂される鬼が毎夜出現し、広範囲にわたり被害を出しており、単独ではなく複数で行動している可能性や鬼の能力がまだはっきりしていないこと、多くの子供が行方不明になっていることを踏まえて、一晩で一気に片を付けたいというものだった。
多数の隊士を投入した大掛かりな作戦で、四方に分かれ、鴉で連絡を取りながら噂が立っている周辺の集落を調べる。見つけ次第退治していき、最後に中心の場所で落ち合う。