第21章 報告
すぐに輸血を始めたが、出血に対して蝶屋敷にある輸血の量が少ない。鉄剤なども飲ませながら血気術の疑いを含めて処置を行う。
服を一旦脱がすということで、杏寿郎は廊下に出される。どうすることもできずに廊下で待っていると、天元が様子を見に来た。
「おい、煉獄。今の状況は?」
「いや、まだ分からない。意識がなく、呼吸が浅い。出血性ショックだ。輸血をしてもらっている。」
「・・・煉獄。お前の顔色も悪ぃぜ。」
「宇髄・・・見てくれ。手の震えが止まらん。」
杏寿郎は小刻みに震える両手を見せながら言う。
天元はその両手を自分の手でぎゅっと掴んでやる。
「煉獄。取り敢えず落ち着け。しっかり息を吸え。心配だが、お前が取り乱しても解決しねぇ。」
「あぁ。そうだな。すまない。自分がこんなにも周りが見えない状況になるとは思わなかった。不甲斐ない。」
大きく何度か深呼吸をし、「手、すまんな。もう大丈夫だ。」と、天元の手から外す。
「煉獄・・・。こんな状況で悪いが、少し確認したいことがある。」
「何をだ?」
「お前、の体調不良には気付いていたか?最初から少し顔色が悪かった。」
「君もそう思うか。俺も2カ月ほど前からの様子がおかしいと思っていた。」
「2ヶ月も?・・・何でそのまま放っといたんだよ?」
「何度も体調を訪ねたが、『大丈夫』と言われて終わりだ。それ以上言いたくないならば、聞けんだろう?」
「・・・憶測なんだが、のお腹に子ができた。」
「お前も分かってんじゃんか。」
「しかし、薬を飲んでいたはずなんだ。」
「望んでねぇの?」
「そんなわけあるはずがないだろう。愛しい人との子。嬉しいに決まってる。」