第20章 意識不明
「杏寿郎!!」
慌てて顔を覗き込む。
視線が定まらないのか、少しぼんやりと上を見て、すっとの方へ視線を向けた。目が合うとにこっといつもの笑顔を見せた。
「やっと目が開けられた。随分待たせたな。」
杏寿郎が手を伸ばしてきた。
「おかえり、杏寿郎。」
は杏寿郎の手をぎゅっと握って笑う。
「ただいま。心配かけて申し訳ない。君の泣く声が聞こえたから早く目を開けようとしたのだが・・。思うように体が動かなかった。」
申し訳なさそうに言う杏寿郎に、は笑顔で返す。
「頑張ってくれてありがとう。しのぶさん呼んで来る。」
はパタパタとしのぶを呼びに行った。
「お目覚めですね。もう6日も経ってますよ。血気術の毒が原因のようですね。数日で痺れも取れるでしょう。さすが煉獄さん。ずっと呼吸で毒の回りを遅らせていましたね。脳や大きな血管に入るとちょっとまずかったですよ。」
「俺の愛する奥方が、ずっと傍にいてくれるものだから、寝るわけにはいかなかった。」
「胡蝶、世話をかけたな。すまない。」
「いいえ。お大事になさってください。」
しのぶが部屋を出ようとすると、が入ってきた。
「さん。お疲れさまでした。もう大丈夫。さんもゆっくり休んでくださいね。」
「ありがとう。しのぶさん。」
泣いていたのだろう。の目は赤くうるんでいた。