第3章 夢見事/魘夢/魘夢にベタ惚れ鬼夢主/微甘/※グロ
着いた先は、荒野にある荒れた古寺だった。既に真夜中であるのに中からは明かりが漏れ、中からは太い男達の声がする。酒の香りも強かった。は躊躇なく入り口へ向かう。表立って、そこを開けた。
「ご機嫌よう」
寺の中には男が8人。
うち、左から2番目の男が稀血だ。
囲炉裏を囲いながら賭博か何かで盛り上がっている様子。きっと彼等は賊集団が何かなのだろう。目つき、身体つき、装い、雰囲気の全てがそう告げていた。
こんな時間にいきなり1人の女が入って来たのだから、彼等が驚くのも無理はなかった。手前にいた巨漢の男が、ずかずかの前までやってきた。
「なんだいおネェちゃん。夜道に出歩くのは危ないぜぇ」
の外観は人間に近い。暗がかりであるし鬼狩りでもないただの人間には、見た目だけではが鬼かどうかの判断が難しいのだろう。男達はにやにや目配せをし合いながら、こちらを品定めしているみたいだった。
すぐに近づいて来るのは2人。1人の男が下からの顎を掴み無理やり顔を覗かれた。酒の香りと息の臭いが酷かった。
「おーお〜!変な格好してっけどえらい別嬪じゃねえか」
「お頭ぁ こりゃとんだ子山羊が舞い込んで来ましたぜぇ」
ゲラゲラと、楽しそうで何よりだが。
全くもって人間とは愚かで馬鹿で、呆れ返ってしまう。
は大股で建屋の中まで足を進めた。この場にいる全員が、劣情を含む目でこちらを見ている。は自ら、男達に蠱惑なる笑みを見せた。
「……先程から、身体が疼いて……慰めては、下さいませんか……?」
男達の視線はこちらに釘付け状態だった。は襟元のリボンを解いた。そしてゆっくり見せつけるよう、服のボタンを外してゆく。その合間から誘うようにちらちら覗くのは丸く膨らむ胸元だ。
「……おネェちゃん、とんだ好きモンだなぁ」
そう野次を飛ばす男達は目をギラつかせながら、だけを見る。
ボタンはどんどん下る、胸の下、臍の下までも。そっと肩を露出させた。薄暗い部屋の中では、雪みたいに白い肌が恐ろしく濃艶でいやらしい色を出す。そこに浮いた鎖骨が深い影を刻む。右胸を全て晒して見せれば、男達はゴクリと喉を鳴らす。