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〈短編〉鬼滅の刃 御伽噺

第3章 夢見事/魘夢/魘夢にベタ惚れ鬼夢主/微甘/※グロ


月にも負けぬ美しい弧を描く胸は、ふとした動作でふるんと揺れる。真ん中を飾る薄桃色の突起は柔く愛らしく、男であれば目が釘付けになるのも無理はなかった。

「いけねぇ身体してやんじゃねえか……」

「どうぞ、お好きなように」

「へ、へへへ、へへ…こんなイイ女、滅多にヤれねぇぜ」

それは当然だ、こちらは肉体も若さも保持される鬼なのだから。この美麗な姿は餌みたいなものだ、左側の服もするりと肩を抜いた。

はだけた服の両袖が手首に引っかかる程度に上半身を全てさらけ出した。左胸、ちょうど心臓の位置に張り付くのは明らかに「切り離された何者かの手」だ。まるで心臓を人質に取られるみたいに。人間共の目の色が変わるのは一瞬だった。

「な、なんだ……っ……?!そりゃ…………」

最愛の物を無垢な人間に見せつける、何とも優越感を得られる瞬間だった。左腕を顔の位置にまで持ち上げると、その手は素早く腕を這ってくる。の掌におさまると甲の唇は一度だけかちりと歯を鳴らす音を出す、ぎょろんと眼玉を動かしそして、にたりとだけ大きく笑う。

「お眠りィィ」



実の所、この場にが来た意味はあったのかどうかよくわからなくなった。魘夢は得意の血鬼術でその場にいた人間を全て眠らせてしまうし、目的の稀血の人間とて例外ではなかった。

は身体を小さく屈める。囲炉裏端で時折楽しそうに指先をこねくり遊ばせる魘夢に顔を寄せた。邪魔をせぬよう小声で、彼に問い掛けてみる。

「夢を見せているの?」

「そう。……幸せな夢を、ね」

「人間てどんな夢を見ているの?」

「半分くらいの男は、あのまま欲望に任せて君のことを犯す夢」

「……そう」

人間の「欲」とは実に滑稽だ、浅はか極まりない。
魘夢も魘夢である、今宵限りはこんな茶番はさっさと終わらせ、早く2人きりの時間を過ごしたいのに。目的を達して彼の元へ帰り今夜の戦利品を褒めてもらいたいのに。

思考だけがぐらぐら出口なく回ってしまう、には苦手な展開だ。は魘夢のように頭を使った周りくどいやり方や効率化なんて考えた事もない。

じっとすればしている程、ちりちりした苛つきが増えてくる。
お預け状態の稀血の香りが急に感覚を鋭くする。

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