第4章 合同任務/魘夢(眠柱if)/鬼殺隊夢主/日常
「ど……どうも」
「いい刀だね。軽くてしなりもあって、淡い藤色の刀身も綺麗だ」
「あ、ありがとう…ございます…」
「手にしたままだとちゃんの顔面が真っ二つになっちゃう所だったから」
咄嗟の出来事でには判断にまで及ばなかったが、言われてみればその通りだ。鬼めがけて躊躇なく振った刀が自身と共に地面に喰い込んだのではこちらが半分になってしまう。
「はい。どうぞ」
やはりこの人は柱だ。冷静でいて状況判断も早く行動も的確。刀を受け取り賞賛の目で見上げると、魘夢はまたも愛らしい瞳をぐしゃりと深くする。
「でもさぁ 宝の持ち腐れだよね」
「え?」
「使いこなせないなら、夜は大人しく眠って夢でも見ていればいいのに」
「……」
「変な香りの蝶屋敷で」
「………」
「あはっ すごい顔ォ」
何というか本当に、逐一“感に触る”人だ。一体何が面白いのか。には皆目理解不能だった。
いちいち相手にしていては先に進めない。はぶんぶん首をふり再び刀を構えて鬼の側に近づいた。刀を振り上げた所で、魘夢に声をかけられる。
「大丈夫だよ。わざわざ首を斬らなくても」
「え?どういう事ですか?」
「その鬼は今眠っている。深く、深くね」
「それは、見れば……。しかし首をはねなければ、いつまた目覚めるかもわかりませんし」
「目覚めないよ。“明け方”までは」
「明け、方……?」
「そう」
つまりは「太陽光」が出る時間に合わせ目覚めるとの意味合いだろうか。にわかに信じ難いがそういう技なのか、しかしわざわざ明け方まで眠らせて時間を稼ぐ事に何の意味があるのかわからなかった。途中で鬼が目覚めぬ確証もない。
つい、疑いの目を向けてしまった。
「信じてないのかな」
「いえ。そういう訳では……でも、」
「嗜虐趣味でもあって斬りたい、と?」
「そっ、そんな事はないですよ!!…………でも、」
眠柱を信じないわけではないのだが、なかなか食い下がれなかった。瞳をきつめて鬼を睨んだ。憎い鬼は首を掻っ切られてこそ当然の報いとも思える。