Fleeting promise【魔法使いの約束】
第3章 友達と呼ぶにはまだ遠い
(……ヒースクリフも相当顔が良いけれど、どうしてこう魔法使いっていうのは皆イケメンばかりいるのかしら。ブラッドリーやオーエンだってあんな性格をしていても、見栄えはまったく悪くないし……。魔法使いがイケメンだらけなら、魔女は美女だらけだったりするのかしらね?……って、ただの偏見でしょうけれど)
「……茜?俺の顔になにかついていたか?」
「あ、いえ、そういうんじゃないです。ただカインはカッコいいからきっとモテるんだろうなって思って」
無意識に彼の顔をまじまじと見つめていたようで、小首を傾げながらカインは尋ね、私はつい思っていたことを口にしてしまった。
すると彼はキョトンとした様子でしばらく私を見つめていたが、軽く吹き出すと私の顔を覗き込んできた。
「ははっ、茜は正直なんだな。嫌味混じりでそんなことを言ってくるやつはいくらでもいたが、そんなに純粋な目で言われたのは初めてだ」
「だって本当にカッコいいんですから。きっとお兄ちゃんだって同じことを言うと思いますよ?」
「それを言うなら賢者様だって十分カッコイイと俺は思うな。ついでに言うとあんたも十分可愛い」
「……カインってやっぱりイケメンです……」
さらりと言ってしまうあたり、この人にはかなわない気がする。同じセリフを兄が聞いていたら、きっと彼も同じ反応をするだろう。
無性に恥ずかしさが込み上げ、それを隠すように上着を口元まで引き上げる。
「どうした?寒くなってきたか?」
当の本人にはあまり自覚がないようで、小首を傾げている。
(なんか……カインが私たちの世界にいたら、女子に超人気の生徒会員みたいな立ち位置になっていそう……)
彼の制服姿を想像して、妙に納得してしまう。会長ではなく副会長あたりの座で、人気のトップを生徒会長と共に収める、そんなイメージだ。