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Fleeting promise【魔法使いの約束】

第3章 友達と呼ぶにはまだ遠い





役に立つために何かをするなんて、簡単に考えていたことがあまりにも不安定すぎて、いざ行動に移すとなると恐怖に襲われてしまう。



(私はどちらも選ばない、友人に運命を任せると言ったけれど……)



兄に連れていかれた先は私にとって良いものなのか悪いものなのか。それは兄さえも知らないこと。



(適度に干渉、あとは見守る……なんて、都合よくいくわけもないものね)



まだ悩む時間は必要なようだ。ムルは考え込んでしまった私を眺めるものの、余計な口は全く挟んでこなかった。



「……私、やっぱり選べないみたいです。前までならお兄ちゃんの、この世界のために出来ることをしたいと思っていましたけど、今はそれが怖いです。だから……もっとこの世界を見て、それからどうしたいかをはっきりと決めたいと思います」

『それもまた、ひとつの選択肢でしょう』



ムルの姿がパープルサファイアへと変わる。

どこからか賑やかな声が聞こえてくる。それを皮切りに欠片を手の中に収めた私の意識は現実へと引き戻されていった。



(……時間は……そんなに経っていないのかな……)



向こう側に干渉している間の時間の経過はまちまちのようで、今回は私が部屋を抜け出してきてからまだそんなに経っていないようだった。



(合コン、終わったのかな。それなら戻らないとお兄ちゃんが心配しちゃう)



何も言わずに席を外してきたから、きっと兄は私が居なくなっていることに慌てていることだろう。そこまで過保護になる必要もないのだが、それほど私のことを大切にしてくれている証でもある。


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