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Fleeting promise【魔法使いの約束】

第3章 友達と呼ぶにはまだ遠い





「中央の魔法使い、アーサーだ。カインとは以前会ったことがある」

「俺は中央の国の騎士でした。こうしてお会いすることが出来て光栄です」

「中央の魔法使い、リケです。神の使徒として、教団の教えを伝えてきました」



兄の意向で国別に席についた魔法使いたちが順に自己紹介をしていく。

中央の魔法使いたちは3人。最初の日に会っただけのオズという魔法使いの姿はなく、アーサー王子は妙にそわそわしていた。責任者がオズだということを聞いたリケという魔法使いも、その人物が居ないことに顔をしかめている。



「オズは中央の魔法使いだ。以前は中央の魔法使いの中で指南役…なんだっけ。先生、トレーナーをしていた。最強の魔法使いだ。知っているものも多いだろうが、あまりここに顔を出すことはない」



他者との関わりが好きではないことは何となく察していた。ファウストを助けるために私たちがここへ来た時も、どこか距離があって、無駄な干渉はしたくないように見えた。

続けて西の魔法使いたちの自己紹介が行われる。



「西の魔法使いシャイロック。西の魔法使いたちの中では先生役をしていました。名ばかりですけど」

「西の魔法使いムル!好きなものはキラキラしたもの!」

私はポケットの上からムルの欠片に触れた。欠片のムルは砕けた魂の一部だと聞いたが、本当に目の前のムルも元はひとつの魂だったとはにわかに信じ難い。あまりにも性格が違いすぎるのだ。だけど時折、話の核心を突いてくることもある。

一体どちらのムルが本当のムルなのか。いや、どちらも本当のムルである可能性も否めない。



(スノウとホワイトが言っていた見えない傷……ムルの傷って一体何なんだろう……)



見た限りで彼の傷は認識できない。けれどまだその症状が出ていないだけで、確かに傷を負ってはいるのだろう。



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