Fleeting promise【魔法使いの約束】
第2章 運命を持たぬ者
ガタゴトという音が響き、広間の向こう側に扉があることに気づく。私たちがこの世界に来た時と同じような扉で、それがエレベーターであることはすぐに分かった。
「召喚されたのじゃ!」
「新しい魔法使いたちがやってくる!」
(魔法使いが……?)
兄の召喚の儀式で選ばれた各国の新しい賢者の魔法使いたち。こんな状況下で楽しみにワクワクすることなどさすがに出来なかったが、私も兄も思わず扉から目が離せなかった。それ程までにどのような魔法使いが選ばれたのか気になってしまっていたのだ。
ゆっくりと扉が開いて次々と人影が現れる。
「東の魔法使い、シノ。世話になる」
「……シノ……」
「東の魔法使い、ネロだ。……まぁ、よろしく……」
最初に現れたのはヒースクリフと同じ東の国の魔法使いたちだった。シノと名乗った小柄な魔法使いを見たヒースクリフが驚きを含んだような表情を見せる。
(シノ……確かヒースクリフが言っていた幼馴染の名前じや……それじゃあもしかしてあの人が互いに約束をしたっていう……?)
もう一人のネロという魔法使いは、どこか無気力に名乗った。
2人がエレベーターから出てくると一度扉が閉まり、またガタゴトと音を立て再び開いていく。
「中央の魔法使い、リケです。外の世界のことはあまり知りませんが……みなさん、よろしくお願いします」
「西の魔法使い、ラスティカ。お招き頂いて光栄です」
「西の魔法使い、クロエです!あの、よろしく!」
続けて現れたのは中央の魔法使いと西の魔法使いたち。まだ幼さの残る聖職者に似たような少年と、紳士的な青年と、彼と共に現れたフレンドリーそうな青年。
ラスティカと名乗った青年は、私と目が合うとニコリと微笑み、隣のクロエという青年が彼に何かを言っているのが見える。
そしてまた、扉から新しい魔法使いが現れる。