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Fleeting promise【魔法使いの約束】

第2章 運命を持たぬ者





スノウとホワイトが制止の声をかけるが、絵に閉じ込められた影響で魔力が弱っている二人に、ブラッドリーは調子に乗っているようだった。



「や、やめてください!」



兄がブラッドリーの前に歩み寄って声をかけるが、ブラッドリーの大声にびくりと肩をすくめる。けれどその反動で兄の巻いていたショールの羽がふわりと舞う。そして羽がブラッドリーの鼻をくすぐりーーー。



「……っ、くしょん!」

「!」



案の定くしゃみをしたブラッドリー。だが同時にその姿が忽然と消えた。魔法を使ったわけでも、その足で逃げた訳でもない。彼の意志とは別の、何かによって飛ばされたようだった。



「とにかく今は、これからやってくる大臣たちをどうするかだ」



(え……?)



「カイン、見えていないのか?もう中庭に兵士たちが集まってるよ」

「なに……?」



そう、外には沢山の兵士たちの姿がある。なのにカインはそれがまったく見えていないようだった。



(カイン、人の姿が見えないことが多いみたいだけど、これって一体……)



今朝もムルやヒースクリフの姿が見えなかったようようで、時折彼は他人の姿を認識出来ていないように思える。


兄から聞いた話では目の前にいた兄の姿さえ、本当に居ないかのように見えていなかったらしい。シャイロックや双子たちにも、ぶつかるか触れるかしなければその姿を認識出来ていなかった。



(あれ?でも私は最初から見えていたはず……あの時は二階に居たし、見えないなら私が一番そうなるはずなのに……)



不可思議な現象に思わず考え込んでしまう。兄やクックロビンさんたちが何かを言い合っていたけれど、私は構わずに思考を必死に巡らせた。


(カインの話だと片目はオーエンのものだから、それが原因じゃないかって言っていた……でも他人の姿が認識出来なくなったのは昨日から今朝にかけて。だったら原因はその直前の出来事が関係しているはず………………もしかして)


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