Fleeting promise【魔法使いの約束】
第1章 壊れかけの世界
凶暴で危険とは……?となるぐらい、スノウとホワイトのイメージは北の魔法使いとかけ離れているうえ、あれで数千年を生きているというのだから驚きだ。
「なんだかますますファンタジーの領域に入っていきますね……シャイロックさんは確か西の国、って言っていましたよね?」
「えぇ、西の国の魔法使いは私とムルの2名が残っています。生き残った魔法使いは全部で10名。オズは元北の国出身ですが、中央の国の魔法使いとして召喚されました」
「召喚?魔法使いって召喚するものなんですか?」
「賢者の魔法使いは賢者様が召喚の儀式をすることで、このように体に紋章が現れ、賢者の魔法使いとして召喚されることになるんですよ」
シャイロックはそういうと自らの胸元の服をはだけて、その紋章というものを私に見せてくれた。不思議な模様の痣のようなものが彼の心臓辺りにあるのが分かる。
「そしてカインもオズと同じ中央の魔法使い。ヒースクリフとファウストは東の魔法使い。あと残りは北の魔法使いですが、ミスラとオーエンは要注意人物ですので、くれぐれも近づかないように」
「……10名?11名じゃなくて?」
「えぇ。スノウ様とホワイト様は2人で1人ですから」
「そうなんですか……」
東西南北中央からそれぞれ4名ずつ召喚される魔法使いたち。ただシャイロックの話を聞く限り、私はどうしてもひとつだけ尋ねることをはばかられた。