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Fleeting promise【魔法使いの約束】

第1章 壊れかけの世界




「さぁ、私たちも行きますよ」



シャイロックとヒースクリフも箒に跨り、空へと飛び立っていく。するとカインが戸惑う私の手を取った。



「あんたは俺の後ろ……いや、前に乗ってくれ。落ちないように善処するが、なにぶん急ぎだからな。しっかり掴まっててくれよ」

「は、はい!」



カインに言われた通り、箒に跨った彼の前に腰掛ける。するとぐいっと体を引き寄せられ、私は彼の腕に抱きしめられる形となった。

しっかり掴まれといいながら、私の安全を確保してくれたようで、何だかとても安心感がある。だが次の瞬間、体が浮く感覚があって思わず目を閉じてカインにしがみついた。



「怖いか?でも少しの間我慢してくれ。すぐに慣れるはずだ」



風を切る音がしてしばらくカインに掴まったまま目を瞑っていたが、やがて音が穏やかになっていく。



「う、うわああぁ!!!」

「!?」



ふいに突如、兄の悲鳴が聞こえて私はぱっちりと目を開いた。そして見えたのは、兄を乗せて勢いよく飛ぶムルの姿だった。

彼の後ろに乗っていた兄が、ムルの荒っぽい飛び方に悲鳴をあげたのだと分かり、私を乗せてくれたのがカインで良かったと内心安心してしまう。私がムルの箒に乗っていたらきっと気絶してしまうだろう。

ヒースクリフもシャイロック人もムルほど荒っぽい飛び方はしておらず、単に彼が異常なのだろうかと思ってしまうほどだ。カインの飛び方は決して穏やかとは言えないものの、一緒にいる私を配慮してくれているそんな飛び方だ。その見た目に反さない、騎士のような徹底ぶりである。

振り回されているような兄の姿を見て、私は思わず笑みを零した。

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