Fleeting promise【魔法使いの約束】
第1章 壊れかけの世界
彼らは傷ついたような表情をしていたが、シャイロックはパイプを揺らしながらドラモンドへと話しかける。
「私たちが正直者だとしたら、あなたは嘘をおっしゃったことになりますね」
(ドランモンドさんは……魔法使いたちのことが相当嫌いみたい……だから彼らを嘘つきにして、自分はそれを聞いて安心したいのね……)
シャイロックの話すことは私の考えと似ていたようで、それを聞いたドラモンドはわけがわからないというように彼の話を切り捨て、私たちを必死に止めようとする。
「賢者様は私たちの言うことだけを聞けばいいのです!賢者様のために言ってるんですよ!」
(私たちのため……か……)
ドラモンドたちと魔法使いたちの決定的な違いは、その言葉の重みだと私は思う。
私たちのためだと言う割に、一方的に言うことを聞けと言っているようなドラモンドに対し、魔法使いたちは自分たちのために"どうか頼む"と。
私が兄を見上げると、どうやら彼も私の同じような思いをしていたようで、私の目を見つめてきた。だから私は兄の目を見つめ返してしっかりと頷いた。兄も頷き返してカインたちの方を振り返る。
「よく分からないですが……皆さんの方について行きます」
「本当に!?」
「いいんですか!?」
「二人とも驚かないでくださいよ。せっかく信じてくださったのに」
(自分たちでお願いしてきたのに驚かれた……)
シャイロックが苦笑し、カインとヒースクリフも笑みを浮かべると、ドラモンドは"何を馬鹿なことを"と口をはさんできた。けれどヒースクリフの一言で彼はぐっと黙り込んだ。
だがそれでもまだ私たちを魔法使いたちの方へやりたくないのか、力づくでも抑え込もうとする。
と、その時。
「《エアニュー・ランブル!》」