第4章 胡蝶カナエ
カ:「はぁ、はぁ、はぁ…うっ…」
カナエの肺からは血が出てゴロゴロ音を鳴らしていた。
童:「あ、どうしよう、そろそろ夜明けが近づいてきちゃった。飽きてきたし、君もそろそろ疲れたでしょ?これで最後にしようね。血鬼術…」
:「待って!!」
がカナエを庇うように、童磨の前に立ちはだかった。
童:「どうしたの?、苦しそうだよその子。早く終わらせてあげないとかわいそうだよ。」
:「…もう、きっとカナエさんは、間に合わない…。最期に…しのぶさんに会わせてあげたい。だから、トドメは刺さないで…お願い…」
は涙を流していた。
の美しい顔から、美しい瞳から出る涙は何よりも綺麗だった。
童:「そんなに綺麗な涙流しても、だって助太刀しなかったし、傍観してたじゃない。いきなりどうしちゃったの?」
:「カナエさんはすごく優しかった。私が出会った中で1番、優しい人だった。だから大好きだし、助けたかった…でも…あなたも、童磨も、私の恩人だから斬れなかった…ううん、斬りたくなかった…」
童磨は、ハッとした。先程に食べられたくない、生きたいと言われた時、他の者と同じだったと、あの時感じたものは全て幻だったのだと思っていた。
だが、違った。
今目の前にいる美しい娘は、自分を未だに恩人だと、鬼なのに斬りたくなかったと言った。
何故だか童磨はそのことで自分の心に光が宿されたような気がした。
童:「分かったよ。トドメは刺さない。、君のことも今回は見逃すよ。何されるか分からないから次は上弦に見つからないようにね。もちろん、俺にも。次はないよ。じゃあね。」
童磨は真面目な顔をして言い、その場を去っていった。
:「カナエさん!ごめんなさい…私、私…」
カ:「いいのよ、ちゃん、つらかったわよね…ごめんね。」
:「カナエさんは何も悪くない!私が…」
カ:「ちゃん、泣かないで。しのぶのこと、よろしく頼むわね。」
:「カナエさん…死なないで…」
その時鎹鴉に報告を受けたしのぶがやってきた。