第2章 酔いに任せて(後編)R-18
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ベッドに横たえられ、その上から七海さんが覆いかぶさると身体がマットに沈む。清潔なリネンからは石鹸のいい香りがし、その中から微かに七海さんの匂いがした。
「七海さんの匂いだぁ」
七海さんのプライベートな空間に入れたのが嬉しくて、枕に鼻をこすりつける。
「この状況、わかってますか?」
呆れる七海さんを仰ぎ見る。
「わかっています・・」
「正直に言います。この状況で我慢できるほどデキた人間ではない。抱きたい・・と思っています。君はどうですか?嫌なら正直に言ってください。無理強いはしたくない」
七海さんの長い指が頬を撫でる。聞かれなくても、考えなくても私の中で答えは出ている。この長い指で触れられたい、もっと近くに七海さんを感じていたい。近くで見る七海さんの目は欲情の色をしていた。心臓がギュっと痛くなる。答えを待っている間もその色を映した瞳に見つめられて嫌な女がいるわけない。
七海さんの親指が唇を撫でた時に、その親指を咥えた。一瞬ビクついた指を丁寧に舌で絡めて愛撫をする。これが正しいかはわからないけれど、きっと彼は分かるはず。
「・・そんなことされたら、YES以外の返事を聞きたくなくなりますね」
「七海さんに抱かれたいです・・」
恥ずかしい事を口走ったと思う。でも言った言葉は取り返せないから、もう後は素直に抱かれたい。ただ、いわなければいけない事もある。
「でも・・」
「でも?」
「御免なさい。20代半ばにも差し掛かろうとしているのに、私は経験ないんです・・」
一瞬七海さんが止まった気がした。やっぱり引かれたかな、処女なんて。少しでも強くなりたくて任務をこなしていた結果、こういう事・・をしている時間がなかったのだ。モテるタイプではないというのが本当の所かもしれないけれど。
「・・それは良かった」
返ってきた言葉は明るかった。
「過去の男に嫉妬することがないですね。大丈夫です優しくしますから」
目に薄い膜が張って視界が揺らぐ。
「ありが・・」
言い終わる前に言葉は唇でふさがれた。何度も啄むようなキスをされ、次第に互いの舌を絡ませる。
優して柔らかくて、何より凄く気持ちいい。