第2章 酔いに任せて(後編)R-18
乱れた私の髪の毛を直しながら微笑む。この笑顔はずるい。優しい手もずるい。言わなくても分かっているはずだ。私がどんなに恋焦がれているかなんて。一緒の任務につきたくて努力した。その背中を追い続けた日々。少し距離が近くなったかと思っても実はまだまだ遠いところにいる。いきなり悔しさが襲ってきた。
「……好き…ですよ。知ってるくせに。私ばかり好きです」
「…私ばかり好き…というのが気に食わない」
テレビの音が一際騒がしくなったかと思えば、ハッピーニューイヤーの声が聞こえた。
新しい年の幕開けだ。
「あけましておめでとうございます」
新年の挨拶をし、再び唇を重ねた。ただこれまでと違うのはその深さ。表面だけの、触れるだけのキスとは違ってどこか七海さんの熱を感じるキス。
「私ばかり好き…という言葉を訂正してもらわないといけませんね。付き合って間もないし、大切にしたくて色々と遠慮していましたが…。ちょっと今回は無理そうです」
目線が急に高くなったかと思うと、七海さんにお姫様抱っこをされていた。片手でリモコンを操作してテレビを消しリビングを後にしようとする。
「七海さん?どこへ?」
「決まってるでしょう?寝室です」