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流星の絆

第1章 第一章 消えた天才作詞家





空腹が満たされ、気持ちも落ち着いた。

「それで?」

「ん?」

「何で、こんなことになってるの?」

スマホを見せる万理は顔を顰めている。

「うわぁー、私も有名になったわ。すごい」

「真面目に答えて。しばらく表に出てこなかったじゃない。それも理由があるの?」

「Re:valeのプロデューサーを外れたのは私のお役御免だったから。その後は事務員みたいなことをして後は裏方に徹底しただけ」

「一応、関わってたんだね」

安堵したような表情をする万理は一生千の保護者だな。

「大体、あの我儘大王が言うこと聞くと思う?所かまわず喧嘩吹っ掛けて、百ちゃんがサンドバックになってるのに」

「え…」

「見ていられなかったわ。Re:vale結成当時は、彼が散々な中傷、嫌がらせなんて日常茶飯事だったし、元相方を追い出したのは百ちゃんだって言う馬鹿もいたのよ」

「そんな…」

酷いことを言うようだけど事実だ。
それだけ百ちゃんへの批難は相当なものだった。


「まぁ、そんなのは才能も実力もない奴らの八つ当たりにすぎないわ。百ちゃんはある意味では千より才能あるわ」

千は天性の才能を持つけど、芸能界で生きて行くには百ちゃんのようにガッツがあって、他者を笑顔にできるサービス精神が旺盛のエンターテイナーが必要だから。

「彼には千以上の才能がある」

「そっか…」

「Re:valeは千でなりたっているんじゃないわ」

今でも千の人気で成り立っていると思っている連中は多いけどその逆なんだから。

「それで私の話だけど…この記事は半分がでたらめ」

「じゃあ、半分は本当ってこと?」

「前々から他所の事務所に圧力はかけられていた…でも、何とか上手く流していたの」

芸能ニュースで流れている内容の半分は本当なのは認めるけど、全部が本当じゃない。

「まぁ、早い段階に先手を打ってあるから事務所とRe:valeは問題ないわ」

「待って…」

「私もそろそろ音楽から足を洗おうかと思っていたし。見てくれだけの特等席に興味は無いし」

星影プロに行けば栄光は約束される。

その代わりに音楽を支配されてしまう。

私の望む音楽はもっと自由なものだった。

「少し予定より早まっただけ」

だからこれでいい。
プロデューサーがアイドルの足枷になるべきじゃないのだから。
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