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流星の絆

第1章 第一章 消えた天才作詞家



❁❁❁ 万理side ❁❁❁

忙しない日々を送りながら、充実しているとふと思う。

あの日、何もかも失った俺を拾ってくれた社長のおかげで俺は幸せだった。

もう一度夢を追いかけることが叶ったんだ。

町を歩けば常に聞こえて来る歌。


 ”見てRe:valeよ!”

ファンの子達の笑顔を見て、俺は安堵した。
置き去りにしてしまっても、千は歌を捨てることはできない。

歩き続けてくれると信じていた。
だから、俺は俺の道を歩もうと思っていた。

影ながら応援して行よう。

千にはアイツがいる。
百君もいるし、きっと守ってくれると思っていた。

けれど、ある日を境に表舞台から出てこなくなった。

いや、活しているけど。

Re:valeのプロデューサーではなくなった。
作詞も他のアイドルを担当しているようで、違和感を感じた。

そして今日のニュースで…


『作詞の神様が失踪!』

『緊急入院か!』

『消えた天才プロデューサー!』

芸能ニュースでは大騒ぎだった。
ミステリアスなイメージで売っていたから話題性もあったが、若手で敏腕プロデューサーとして謳われていた。

中でも、作詞家としての才能は作曲家の先生から一目置かれていた。

天才作詞家が失踪した騒ぎは収まるどころか、そのニュースで持ちきりだった。

噂では大手事務所から引き抜きや圧力をかけられていたんじゃないか?

または、若手天才作詞家であることを妬み引退に追い込まれた等と色んな噂が流れていた。


俺は急に不安になった。

千には百君がいる。

でも詩音には?
守ってくれる人はいるのか?

今更になって後悔する。
千を押し付けてしまったことを。

不安を抱きながら残業にも集中できずにいる時だった。

事務所の扉が空き、営業に回っていた社長が帰って来てしまった。

まずい、仕事はまだ終わってない。

そう思った矢先の事だった。

「詩音」

行方不明のアイツは目の前にいた。

俺は死ぬほど心配していたのに、相変わらず太々しい表情でピンピンしていた。


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