第2章 第二章 未完成な音色
泣くだけ泣いたら疲れてしまった私はというと。
「何故に?」
「俺より小さいから」
私は現在、万理の膝に座らせられ、背後からがっちり抱きしめられている。
「うー…」
「嫌?」
「社長と違うから少し違和感が」
「は?」
泣き過ぎで疲れていた私はさらなる失態を犯した。
「あっ、滑った」
つい口が滑ってしまった事に気づく。
「へぇー…社長の膝に座ってたの?」
「えーっと、ちょっとした悪ふざけで!普段はリンリンと」
「リンリン?」
時々、ふざけて太郎の御膝に座らせてもらっていたけど、私を甘やかす為だっただけだ!
そう、普段はリンリンが私に構ってくれていたんだもん!
「えーっと、五年前にスカウトに来た眼鏡の人」
「岡崎さん?」
「そう、ニックネームはおかりんだけど。私はリンリンって呼んでるの。北斗と昴は凛人って呼んだり眼鏡とか呼んでた」
でも愛称はリンリンだけどね。
「その岡崎さんとはどういう関係?」
「えっと、盟友で、私の大好きなお兄さんみたいな人?そんでリンリンも私の事甘やかしてくれてた」
うんうん、リンリンはすごく優しかった。
時折無茶をすると怒るけど、本当に面倒見がいいお兄さんだった。
「リンリンは社長の弟さんなんだけど、すごく素敵なんだよ。千が何時も無茶ぶりをしても笑顔だし」
「あー…」
千の名前を出すと万理は納得した。
常にトラブルを呼ぶ千の面倒は忍耐力が必要だから。
「それに、社長と北斗が殴り合いになった時は何時も止めてたし」
「殴り合い…」
「北斗と社長は何時も喧嘩てるから。昴は見ているだけだし」
なんていうか、常に言い争いが耐えなかった気がする。
「社長もすぐ挑発しちゃうから、時々事務所が滅茶苦茶になるの」
「大丈夫なのか?」
後で事務所の修理費の請求書を見てはリンリンが失神するのはお約束だったけどね。