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流星の絆

第2章 第二章 未完成な音色





久しぶりに夢を見た。

そう万理がまだいなくなる前で、楽しかった時の事。


「万…」

「詩音」

困った表情をする万理はゆっくり私の名前を呼ぶ。

ああ、これは夢だ。

うん、夢だよね。

「どうしたんだ?」

「夢ならいっか」

私は都合よく解釈して万理の膝にしがみ付く。

「抱きついちゃおう」

「へ」

「万しゅき」

現実じゃ絶対に言わない。

言え無い言葉を私は夢だからいいか?って思って言った。

だって一生叶わない片思いだもん。
再会してからも太々しい態度を取ったのも、そうしないと溢れそうだった。


「詩どうしたの?」

「んー何でもない」

やっぱり夢だ。

でもなんかおかしいな。

万理の手はこんなにゴツゴツしていたっけ?

「俺のこと好き?」

「ん、好き。大好き」

「千よりも?」

「ん」

フワフワした感覚で優しく頭を撫でられながら私は溢れんばかりの告白をした。


「百君よりも好き?」

「うん、一番好き」


何で千が出て来るか解らないけど。
千は手のかかる弟みたいなものだし、そもそも恋愛感情を抱いたことはない。


「そっか。じゃあキスしていい?」

「うん」


ここまでくると私の願望なのかと思うぐらいだった。

でも夢にしてはすごくリアル…

「んっ!」

「詩音」

そこで私は夢ではなく現実であることに気づいた。

万理の髪が長いことに。
あの時の万理は髪が短かったからありえない。

「まっ…」

「待たない」


万理に腕を引かれそのままキスをされる。
最初は優しい触れるだけのキスがどんどん激しくなり、私はされるがままだった。

「万…」

「ダメ、誘ったのは詩音だから」

寝ぼけて私はとんでもない事を口走った。

しかも私は万理に告白してなかったけ?


「大人しくして」

「んっ…」


逃げようとするも万理は私の腰を掴み強く抱きしめながらキスをする。


唇から熱が伝わり、私の鼓動が熱くなってどうにかなってしまいそうになるのに。

それを受け入れていた。


嫌じゃない。

寧ろ私の心が万理を望んでいた。


だって、十年間ずっと好きだったから。

好きで好きでしょうがない人だった。

まるで砂漠で渇いた花が水を欲しがるように私は万理を求めてしまった。


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