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流星の絆

第2章 第二章 未完成な音色


❁❁❁ 万理side ❁❁❁


コップがテーブルに落ちる音がした。


「えっ…詩音?」

「これで当分は起きないだろ」

「まったく単純だよ」


この二人、薬を盛ったのか!

「まぁ睨むな。害はない」

「それよりも話がある」

詩音を眠らせたのは俺に話があるから?

何の話をする気なんだ?


「単刀直入に言う。しばらく詩音をかくまって欲しい」

「今、彼女が頼れるのは君しかない」

「え?」

詩音が眠っているのを見守りながら二人は頭を下げた。

「あの…何を」

「さっきも言ったが、こいつは星影に狙われている。それだけじゃない…これまで芸能界でコイツの才能を妬んだ連中に陰湿な嫌がらせを受けて来たんだ」

「なっ!」

「業界ではよくあることだよ。才能ある若手のプロデューサーを潰すなんてことは…でも、詩音の風当たりは異常だった」


服を脱がせたときに見た傷跡は…もしかして!

「一番の理由はRe:valeのプロデューサーと言う理由。後は後ろ盾がない」

「僕達は彼女と違って家の力がある。でも、彼女はそうじゃない」


そうだった。
二人の実家はそれなりに大きな財閥でもあると聞いたことがある。

でも、詩音は違う。

「嫉妬や妬みが渦巻く世界だ。けれど、こいつは汚れなかった…正々堂々と戦って来た。それが許せない奴がいるんだ」

「音楽に真摯に向き合い、人を尊敬し尊重するが故に、汚い真似をして来た連中からすれば許せないんだろう」

綺麗事では生きていけない世界。
他人を踏みつけて生きて行かなくてはいけないなんて解っている。

でも、詩音はそれをしないから。

そうしなくては生きて行けなかった人からすれば許せなかったんだろうけど。

こんなの理不尽だ。

酷すぎる!


「コイツは人との絆を大切にし、愛を持ってタレントを育てて来た。だからこそ、こいつを慕うタレントは多い」

「親に愛情を注がれ育てられた子供が親を慕うなんて当たり前なのにね」

詩音はタレントを子供だと言っていた。
その名の通り、子を慈しむ思いでタレントと向き合って愛情を与えて来たんだろう。

知っている。
詩音がどれだけ愛情深いか。

それを妬み、憎み、恨むなんて。

ただの八つ当たりじゃないか!



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